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デジタルトランスフォーメーション

活性化するDX(デジタルトランスフォーメーション)必要とされる人材は、まだまだ不足している!

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現在、わが国では官民挙げてDX推進が必要だと言われています。
従来の日本企業は、各部門でのIT化・デジタル化は進められているものの、意思決定の遅さや効率的な業務遂行、新技術を使ったイノベーションに各国から遅れを取っており、今後、企業、いや産業全体の競争力を取り戻すには、組織全体の統合的なデジタル化が必要だと言われています。

しかし、社会に広がるWeb、ITのサービスは日進月歩であり、各部署のニーズをくみ取りながら新しいビジネスモデルを組み立てるのは至難の業といえます。そこで各企業には、DX化を推進するスキルを持った人材が必要になっています。

それだけではなく、「経営者」「総務担当者」「スタートアップ企業のリーダー」…いや現場で働くサラリーマンも、DXに対する意識が不可欠になっているのです。

1.DX化とは

DX化は「デジタル・トランスメーション」の略。
デジタル化をあくまで「手段」として、ビジネスモデルを変革していくことです。

担当者の個別の業務をアナログ→デジタル化し、労働環境を整備することは、単なるデジタル化・IT化に過ぎません。それは基本的には、アナログな業務をデジタルに置き換えただけで、ビジネスフローは旧来のままです。

つまり、「デジタル化された会計部署」「デジタル化された在庫管理」「デジタル化されたマーケティング」などが、人を介して繋がっているだけなのです。

それに対しDX化の達成は、デジタル化して得られた利点を統合し、新たなビジネス・収益・効率化につなげることです。つまり、各種サービスの特性を生かし、各部署がシームレスで収益につながる取り組みを継続していくことが必要です。それによって、組織や製品づくりの本質まで変えてしまうこともあります。

デジタル化が「スタート」ならば、DX化は新事業・新システムを成功させる「ブレークスルー」の関係にあるのです。

2.従来型のIT化・デジタル化

従来型のIT化・デジタル化の目的は、紙をベースにしたり電話や直接会話などで行っていた業務を、データベース化したりリモート化するなど、アナログ作業に対してデジタル技術を導入することによって、高レベルの効率化を図っていくものです。

この場合は直接社内の業務全体を革新したり、新しいビジネスをスタートさせるわけではありません。
それぞれの部署・担当者が行う業務が省力化・スピードアップに繋がれば、それは達成したことになります。

従来型のIT化・デジタル化の例

01. リアル会議からZoomへの移行

  • 他社との会議における移動などの時間を減らす。
  • リモートワークでも打ち合わせができる

会議室での会議

自席から離れる、他社に移動する

リモートでの会議

他社や会議室に
移動する必要がない

02. 勤務記録などのペーパーレス化

  • 膨大な紙の記録やデータの管理などの作業から、担当者を開放。

紙書類のファイリング

検索性が悪く、変更対応も難しい

データ管理の一元化

データベースで社内共有
→効率化・透明化

既存業務の効率化・省略化を達成。

ただし、これはDX化ではない!

3. DX化によるビジネスモデルの革新

DX化は、新しいサービスやデジタル技術を使ってビジネスモデルや業務フローを総合的に革新するものです。各段階によってアナログからIT化・デジタル化しても、その間に人間の判断や旧来の業務態勢が生きていると、新しいビジネスモデルはなかなか生まれません。

また大量の情報を処理するには、人間の能力には限界があります。
こうした状況を打破し、より新しい発想のビジネスを展開するには、様々なサービスを組み合わせたり創出することが必須となります。

DX化の例

01. オンラインスクール (リモート家庭教師)

これまで教室を用意し、時間割を作り、授業料や講師の費用を別々に管理していたものを、全てリモート化しクレジットカードなどでの決済する。
ユーザーは授業スケジュールを見て、オンライン上で予約。さらにAIチャットでの顧客対応やレポートの出し入れまでを自動化・効率化。各種データからのマーケティングなどで、ユーザー取り込みを行う。

教室の授業

・運営自体に労力が必要
・運営だけは業務用ソフトを導入

オンラインスクール

雑多な運営業務が不要。海外からの授業も可能

02. 工場 
(スマートファクトリー)

マーケティング・資材調達・在庫管理・原価管理・決済・スタッフ管理などを統合してデジタル化。それまでの「アナログ業務→デジタル化」では達成できなかった各段階での自動化・効率化を達成する。

メーカーの製造部門=工場

資材調達、在庫管理、生産調整を各部門が独立したシステムで行うと、タイムラグや人的リソースが必要になる。

スマートファクトリー

資材調達から在庫管理などをすべて自動化すれば業務全体の省力化や大幅なスピードアップが可能となる。

新しいサービスを統合して導入することで、
革新的なビジネスモデルを創出する。

これがDX化!

4.DX化に必要な人材

経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」では次のように解説しています。

- DX 推進部門におけるデジタル技術やデータ活用に精通した人材
- 各事業部門において、業務内容に精通しつつ、デジタルで何ができるかを理解し、DXの取り組みをリードする人材、その実行を担っていく人材

DXの推進に必要なのは、単にデジタル技術に精通した人材だけではありません。実際にDXのプロジェクトを進めていくには、指揮を執る経営者や総務部など管理部門によるDXへの正しい理解や、プロジェクト全体をディレクションし進めることができる人材が必要です。

両者が緊密に連携することで、新しい業務管理やビジネスモデルを創出し、社全体のDX化は進みます。また、社員ひとりひとりのDXに対する意識も必要です。
新企画の進行や業務改善に、一丸となって取り組む必要があります。

ビジネスプロデューサー

ユーザーの要求を明確にし、必要なリソース(技術や人材、ノウハウなど)を導入・確保・活用して実際に成果を生み出す業務がビジネスプロデューサーの役目です。

業務フロー、商品企画、プロジェクト運営、マーケティング、組織運営、在庫管理などの要素を統合し、これを統合するシステムを創出します。監督とゼネラルマネージャーを合わせたような業務です。

データサイエンティスト

デジタル技術(AI、IoTなど)やデータ分析に精通した人材です。AIの活用や、ビッグデータを扱う役割を担います。統計解析や機械学習を扱う技術的なスキル・知識を、目指すべき新しいビジネスモデルに的確に投入するスキルが求められます。

エンジニア

システムを開発・構築・設計、製作、運用、保全する技術者です。DX人材として求められるのは、社内で行われている業務を俯瞰で観ることができ、様々なセクションとニーズを探りながら、新ビジネスモデルを構築するのに必要なシステム構成を見極める必要があります。